避難の庭

2004年11月18日 読書
私は本当に疲れた時、普段好きな作家、類の本を読みたいとは思わない。
それは音楽の趣味、食べ物の趣味、着る物の趣味にまで至ることではあるのだけれど、がらりと変わる。好む好まざるを問わず、普段主としている所をはずして、他の感性に触れたくなる。
ただ、無防備に手を出してみるのはかえって受け付け不可ゆえの痛手を受けかねないので、なるべく柔らかいラインを選ぶことにしている。

この本はそういう時の私にぴったりなものの一つだと思った。
淡々としていて、自棄にならず、捨てるものは捨て、捨てきれないものは残されている。
毛布みたいな、空気公団の音楽みたいな、お粥みたいな。
ぼんやりと、呼吸を、心を整えたいときに読むのにいい小説だと思う。
現実逃避させる力が絶大。それは世界が閉じているからなんだろうと思う。

というか、落ち着けて気持ちよい。忙殺感も飽和してきた状態に全く違う方向から流れ込んできて、しばしトリップする。
ドパミン抑制効果あるのかね。

今日は帰り道、傘の上を打つ雨粒の音が妙に小気味よくて心地よかった。不思議だったけど、少し嬉しかった。

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